joke avenue 2nd street

看護婦が世界史上、その表舞台に登場したのは
クリミア戦争(1853-1856)であろう。
Nightingale(ナイチンガール そりゃガールには普通、チンはナイ。あらお下品。)の活躍が有名。
だが、もっと前に、ひそかに看護婦が歴史に刻まれていたことはあまり知られていない。


ブルガリアの漁師アレクサンドル・カンゴフは漁に出ているところ大時化に遭い、漂流することになってしまった。
命からがら流れ着いた砂浜でものめずらしそうにカンゴフを眺める原住民。
無論、言葉は通じない。
体力を使い果たしているカンゴフはなんとか助けをもとめるも力つきて、また眠りに落ちた。


次に目を覚ました時、カンゴフは小屋の中にいた。
どうやら、原住民に介抱されたらしい。
あれほどくたびれていた肉体も、元気を取り戻してきていた。
カンゴフは必死に謝意を伝えようとした。
笑顔。
そして両手を広げ、恭順の姿勢。


彼の胸元に視線が集まった。
なんということはない普通の衣服(チュニック)である。
どうしてこんなものに注目が集まるのだろうか、と思いながら、彼は上着を脱いで、差し出した。
そもそも漂流した彼には他に御礼として渡せる品物もない。


原住民は、なにやら衣服の模様が珍しかったようだ。
そしておもむろに、自身の衣服を脱ぎ、カンゴフの上着と並べて彼に見せた。


なんということだろうか。
カンゴフの上着の模様と、原住民の衣服の模様とがぴったりと一つの模様を為しているように見えるではないか。


カンゴフ(勘合符)貿易の始まりである。