BECK

BECK(33) (KCデラックス)
友人に借りて一気に読みました。
連載はすでに終了していて10月に最終巻が発売されるようで楽しみです。


若者がロックバンドを組む中での青春群像なのですが、バンドをやっている友人の話や、フェスやライブに行ったりする中で感じる感慨を上手に刺激してくれる感じ。
この感慨は、理屈ではなく、「音で身体が動き出す」に近いような気もしますが、それに加えてコミュニケーションの喜びがやはりあるように思います。
それは、キミとボクは同じだね、という喜びもあるでしょうし、キミとボクは違うけれども、互いが互いとして生きているんだ、という確認でもあるでしょう。


バンドは、チームです。
チームメンバーごとの役割分担がしっかりしています。
だからバンドを巡る物語は、最高のパフォーマンスのための仲間探しの物語、あるいは最初の仲間たちと一緒に成長していく物語になります。
(ワンピースは明確に前者、ゲームだとウイングイレブンのマスターリーグモードも前者。他はどうだろう?)
前者は、人を機能還元して「部品」として扱う近代的態度、なんて言えるのかもしれません。
後者の方が、なんか健全な気がしますね。
その分、もたもたすることやイライラすることも多いでしょうけど。
この物語でも、前者と後者の対立、もモチーフの一つとしてあったりしますが、どちらがいい、というものではないというのがボクの立場ではあります。


他にも、この物語の中にあった、インターナショナルスクールでの彼女が日本の普通の高校で育った主人公を「つまらない男、、、」と言ってしまったりする価値観のギャップをどう乗り越えるのか、その溝は埋めることが可能なのか(自分の中にもかなりの比重を持った悩みとして存在します。)なんてモチーフも印象的でした。
つきあうことでお互いに影響を与え合うのは当たり前ですが、相手が自分の思い通りでないことにいらつかない自分でありたい、と改めて思ったり。