姑獲鳥の夏

ages2005-07-18

京極さんが「この作品に問題があったとすれば、すべて僕の責任」とまで話していた、という話を聞いていましたが、その言葉に偽りなし。
パーフェクトな出来です。
僕はセブンやティガの一部でしか知りませんが、実相寺監督の独特な魚眼レンズ的構図や、空気感が見事にマッチしています。
映画のスクリーンから得られた刺激によって脳内で再構成された映像にズレは皆無。
役者もみんな上手だし、どこかの実写映画化された原作物とは大違い。
本当によい出来です。
10年越しのファンの夢(なのか?)が叶いましたよ。
ファンだからこそ無条件に楽しめている部分もあるのかも知れませんけどね。
確実に作り手もファンであることが確認できる出来なのです。


下手な人が撮ると妙にホラーチックな映画になってしまいそうですが、実相寺監督の非常にバランスの取れた抽象化によって、まったく不快感がありません。
原作にあったように「蛙の顔」が本当にかわいくすら見える。
トラウマ映像見せられたらどうしよう、と事前には逡巡したのですが、観てよかった。


そうそう。
今日みたいなうだるような暑い夏の日に上映されるタイミングも素晴らしい。
現か幻か、その境界が曖昧になりそうなこんな暑い日々。


この世に不思議なことなど何もないのだよ。