THE有頂天ホテル

三谷脚本の真骨頂は多分
次から次に起こるハプニングに本質的ではない対応を行うことで状況が少しずつズレていってしまうおかしさ
にあると思う。
そういった意味では、今回もまさにそういうお話でそれはそれとしてうまくいっている。(しかも完成度高く)


だが、有頂天のよさはそこを遥かに越えたところにある。
どうしたんだろう?
三谷さん、こんなに人間が書けたっけ?
というよりも人間を奮い立たせる脚本が書けたっけ?
などという失礼なことすら思ってしまう。
みんなのいえはよかったが)
この映画を観た人が、
他人に対して優しい気持ちになれたり
自分の人生を頑張って行こうと思えたり
する、そのチカラ。


役者がうまい、そんなのは言うに及ばない。
(彼らももちろん努力してあのパフォーマンスを出しているのだと思うが)


長いのだけれども、見事に一つひとつのパーツが組み上げられていた。


あと、これは舞台ではちょっと難しい。
映画ならでは、の見せ方ができている。
複数の場面を同時に見せる部分があるから。
(らじおの時間は場所があまり動かないので舞台でもできそうだ)


「おかえりなさい」
そう言ってもらえる素敵な時間があなたを待っている。


(補記)
本質的でない対策は限定的な局面においては最良の策であることもある。
(というよりも本質的なところに効果を及ぼすことは時間や手間が膨大にかかってしまうことがしばしば)
ゲリラ戦の思想。