チームバチスタの栄光

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)
チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)
映画化されるらしく、ようやく文庫落ちしていたのを見つけ、即購入。
(文庫、新書じゃないとどうもかさ張って読みづらいと思うのです)
エンターテイメントとしての完成度が抜群。
一人称視点なこともあり、文章もものすごく読みやすく一気に読めます。
キャラクタも立っていて、誰かと誰かを区別しづらいこともない親切設計。
登場人物はすべて固有のバックボーンがある、がゆえのセリフである、というところの作りがとても丁寧でもあります。(だから、セリフだけから、それが誰のセリフか、がわかりそうなほど)


一方で僕が医療関係者と話す時に感じる違和感がここにも。
それは患者が「人格」として取り扱われないこと。
本来、人格と身体の境界線は非常にあいまいで、だから例えば手術しないといけない心臓はその人の人格とは切り離して考えることだって可能※で、だからこそ治療しその人格の人生を長くすることだってできる、という意味でそれは仕方ない部分もあるし、医療関係者も気を使っていることがわかる人もいますが、どうにも気持ち悪さが残ることがあります。


※逆にお医者さんは患者さんの人格を意識しすぎるとやりづらい部分もあるのではないか、と思います。もちろん、それではいけないという医は仁術、に代表される立場があることもよく知っていますが。


きっと、これは自意識過剰な僕の思考上の癖で、自意識が過剰であるので、他者の意識の存在も信じていて、行為とか事象の裏側にある人格・意識に思いを馳せがち、というところが影響しているのかもしれません。
こういうスタイルだと「盗人にも三分の理」とか言いだしかねませんし、どっちの言い分もわかる、と非常に優柔不断な態度を取ることにもなりかねないので注意が必要な部分なんですが。