伝説のお宝は俺たちのもんだ!

「だーっ!ったく今日何度めだ!?このデカい木のとこ来んの!?」
俺は吠えた。
「7度目だよ」
さらりと言ってのけるこいつはダチ公のパスオ。
シエロ家の十三男だ。


「十三番目だぁ?お前の親父、相当な野郎だな。おい!」
「いや、そういうことでもないらしてくさ。」
以前聞いた時にパスオが言っていたことだ。
「父さんが言うにはね。『我がシエロ家には2つの街、3つの官位、4つの宝がある。それを分け与える時に割り切れないようにお前が必要なのだ。なぁ、パスオ。。。』って要は兄弟の数を2でも3でも4でも割り切れない人数にしておくことが重要なんだ、ってことなんだと思うんだけど、それって本当に意味があるのかな?」
俺にはそんな難しいことはわからねぇ。
でも、分かっていることがある。それはこのパスオが信頼できる相方で、今、俺たちはジャングルの奥地で道に迷っているってことだ。


「おい、パスオ。なんで7度も同じ場所に来るんだ?お前は地図が読めない男かってんだ。」
「うーん。たしかに。このままじゃ、ずっと僕ら、このジャングルの中で遭難だね。でも、兄さんの地図通りに歩けてると思うんだけど、、、」
「理論と実践は違うってこった。お前の兄貴もその地図どうやって入手したんだよ。前人未到の土地だったら、そもそも地図なんてあるわけねぇ。つかまされたんだよ。ってそれでのこのこやってきた俺が一番の間抜けか。たーっ。このままジャングルの草木の栄養になるなんていやだーーーっ!」
「あ、ちょっと待って。この木。今まで気づかなかったけど、よく見ると、、、」


って、今まで気づかなかったのがどうにかしてるってなボタン(としか俺には表現できねぇ)が木の幹にズドンとついてた。
三十六計進むにしかず、だ。
目の前にドアがあるなら入ってみる。
目の前にボタンがあるなら押してみる。
それが俺さまの生き方よ。
ポチッとな。


「うわーーーっっ!!」


「たったった。っぃてぇー。木の中に入れるなんて聞いてねぇぞ、、、!結構落ちたなぁ。。。」
「ねぇ!ちょっと見てよ。ここ。木の中だけど、明らかに人工的な構造物だよ。これがもしかして、、、」
その時、まるで俺たちを出迎えるかのように、周囲が明るくなった。


「!こ、これは、、、ほ、本当だったのか。。。」
「ここが、、、古代都市、、、ワクテカ。。。兄さんが言ってたのは本当だったんだ。。。」


その後、いろいろあって、欠けたる所無き幼き帝ウプレカス陛下を悪臣ニデオトスから守ったり、小うるさいじいさんググレカスに修行をつけられたりと、俺たちの大冒険は続くんだが、それはまぁ、またの機会ってことで。


This light novel is inspired by 無蝕童帝ウプレカス