「珈琲を頼んだら紅茶が出てきた話」の主題による変奏(女声)

ひとつの主題を様々な変奏できると楽しいです。
世界には語られるべきコンテンツというものはもしかしたら無いのかもしれなくて問題となるのはバリエーションだけなのかもしれません。
そんな風に思う僕なので、コアの無さに無自覚なままマッシブなコアを持っているかのように他人に押し付けてくる人には辟易します。(自覚的にやっている人はかっこいいと思います。)
他者を変えてやるという支配欲むき出しでない分にはみんな好きにやったらいいんですよ。で、いいなと思われたら他者はほっといても変わりますから。


なにより僕にはまだまだ腕が足りませんが変奏やってみます。
なお、推奨ツッコミは「あるあ…ねーよwww」「テラスイーツ(笑)」になってございます。




わたしは怒っていた。
上司(あのオヤジほんとムカツク)にいじめられて毎日疲れているし、ヒロは今日も仕事で忙しいらしいし(まさか浮気してないでしょーね。そんなことしたら許さないんだから!)わたしって本当かわいそう。
そんな自分へのちょっとしたご褒美に、と思って今日は前から目をつけてたカワイイ喫茶店に入ってみたのだ。
そしたら、なに?この仕打ち?
わたしが頼んだのはコーヒーであって紅茶じゃないんだってば!
紅茶っていうか、お湯じゃん!これ!喫茶店なのに自分で淹れろってこと?
お客様をナめてるわね。
わたしがここの店長だったらあいつはクビだわ。
「ちょっと!店長さん呼んでいただけるかしら?」
わたしはモーレツに怒っているのをおもてには出さずあくまでエレガントに声を出して店長を呼んでもらった。
わたしはこれしきのことで簡単に怒ったりしないオトナなんだから。
でも言うべきことは言わなきゃね。
「あなたの店はコーヒーと紅茶の区別もつかないんですか!?どっちも「こ」で始まるけど最初の音しか聞かないように教育してるんですか?それだけ忙しいってこと?失礼ですけど、あまりお客さん入ってらっしゃらないようですけど!?」って。



「お客さま。お呼びでしょうか?私がこの店の店長をやっております田中でございます。」
聞こえてきたのはちょー渋いバリトンだった。
わたしは顔をあげる。
なにこの渋いヒト。(はあと)
わたしは、即座に恋に落ちた。