夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
夜のピクニック(未読)あたりから歩くことがなんだかブームっぽくなっているような気がします。
スクランの終焉前の混乱期(と僕には見えた)にも大歩行祭やって、その前から見えていた翳りを吹き払えなかった印象。
そんなわけでこの小説も、まぁた歩くブームに乗りやがって的な印象を勝手にもっていたのでした。


でもまぁ、そこは最近結婚した(いいなぁ)ことでお馴染みのモリミー。
いつもの絢爛豪華な修辞の数々でめくるめく小説世界に連れて行ってくれます。
お財布への信頼に一抹の翳りのある方は書籍の既存の流通網をズタボロにし作家にビタ一文返還しない驚愕の新流通網を作り上げたブコフとかで買ったり立ち読んだり図書館の長い行列を待つのもよいかも知れませんが、文庫だとうっかりしたお店だとお昼ごはんも食べられないぐらいの値段で購入できますので、買って読むのも一興かと。
世界が偽電気ブランのようなささやかなしかししっかりとしたオモチロイ煌めきに満ち満ちていることを実感できたりするかも知れません。


ちなみにこのヒロインは自分的にツボど真中(その人自身の好奇心で世界を練り歩いているから)ですが、それはあまり広言しないことにします。
先輩から「ロリコンはともかくマザコンでない男は白いカラス同様存在しないことになっているが、モテたくば、マザコンロリコンは何があっても隠し通せ!」と言われておりますので。
迂遠な外堀埋め作業に明け暮れる主人公も他人事とは思えない。(笑)